日々人 細胞分裂

- 泡沫の妄想を あなたへ -

ぺぇーぱぁーくえすと [ 神 no 紙芝居 ] Lv.3

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…ちょっとまってくれ。

『決して ふりかえるな』だと?

 

「…ええ」

 

…ここでうしろを向いたら

オレは いったいどうなるというんだ?

 

「あなたを 追うものがいます」

 

誰だそれは

オレが 逃げ出したからか?

 

「この虚無の世界

 あなたは その追うものに 心の弱みをみせては なりません

 それはつまり うしろ向きな気持ちになってしまうということ

 そうなれば この世界の主に 気付かれてしまいますから」

 

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…なぜアンタは そうやって 救いの手を差し伸べてくれる?

 

「なぜ? ですか…

 もしかすると…それは わたしも救いを求めていたからかもしれません

 実は わたしの呼びかけに返事をかえしてくれるものは ごくわずかなのです

 あなたにも わたしの声が聞こえたということは

 わたしたちは なにか見えない力によって結ばれているのかもしれませんね」

 

…俺はただ 漠然とした毎日を送ることが急に怖くなったんだ

なにものかに見張られ 監視され 操られているような

そんな感覚に 耐えられなくなって

…あの世界から 逃げ出したんだ

そして 孤独になった

 

「わたしは ずっと待っていました

 長い間 わたしも孤独でした

 しかし 今はこうして なんとかつながりを得られています

 もし あなたが 望むなら

 あなたの 旅の手助けを させてもらえませんか」

 

…目的はなんだ?

あの世界を逃げ出してから

これまでに感じたことのなかったような感情が芽生えてきた…

 

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…いや 違うな

思い出したんだ

俺が今 アンタに抱いている感情を教えてやろうか?

 

「…疑念ですね」

 

アンタは俺が断っても

きっと その意識って存在で追ってくるのだろう

…さっき 『救いを求めていた』と言ったな

どういう意味だ?

 

「…では 正直に話しましょう

 あなたが信じてくれようとくれまいと

 伝えましょう」

 

上から降ってくる声を聴きながら

そういえばこれは「女」の声だと気付いた

俺は どんな意識で

あの 代り映えの無い世界を過ごしていたのだろう

 

こうして 前へ歩みを進めることで

すこしずつ 霧がかった視界がひらけるようにして

以前の世界の記憶を 少しずつ取り戻しているかのようだ

 

「遠い昔 わたしは崇められていました

 『女神』と呼ばれることもありましたね

 ですが それは昔の話

 今は姿を奪われ 実体を失った力なき存在…」

 

世界を 手中におさめていた とでも言いたげだな

 

「…そう 受け取っていただいてもかまいません

 しかし あなたが逃げ出した世界

 偽りの世界 も この虚無の世界 も

 わたしを このようなかたちにしたものが すべて創り出したのです

 

 わたしは そのものを止め

 もう一度 元の世界に戻したいのです

 そのためには 力がひつようです

 どうしても 躰を取り戻さなくてはなりません

 この虚無の世界に わたしの躰がバラバラに散らばっているはずです」

 

…はず? そんな不確かなことの為に

俺を しもべにするつもりか?

 

 

― その時 また前方から敵が現れた ―

 

相変わらず 殴って蹴っての繰り返しになるのかと思うと

からだから 力がぬけてゆく

 

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////戦闘開始//// 

「…あなたの手助けをしてみましょう

 こんな状態でも

 なにかあなたの役に立てるはずです…」

 

頭上のステータスをみあげる

まだ 戦いの傷が癒えていない為か

『5』と表示されている

 眼前には敵が迫ってくる

そういえば『死』という恐怖があったな

などと いまさら思い出す

 

身体が強ばった その時だった

足元に浮き出てきたものは

せめて こんなものがあればいいと願ったもの

そのものだった

 

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 ー ー ー ー

 

 

LV.4につづく…

 

 

 

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