月詠み 日々 細胞分裂

- 泡沫の妄想を あなたへ -

ぺぇーぱぁーくえすと [ かみ no 紙芝居 ] Lv.8

上空から襲ってきた敵を倒したあと

この虚無の白い世界に

雨がよみがえった

 

しかし 敵を倒してからというもの

俺と女神との間には 依然として長い沈黙があった

まぁ俺が 一方的に口をつぐんだだけだが

 

あの 引き金を引く瞬間に感じた違和感を

未だに拭い去れない

この 後味の悪さ

俺の中で まだ気持ちの整理ができていない

 

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しかし この真っ平で何もない白い世界だ

高低差もなく ふりそそいだ雨の流れゆく先などない

広大な水たまりを パシャパシャと進みゆけば

やがて その水は天にのぼり雲となり

そして またふってくる

それを なんども繰り返した

 

世界が未完成なのだ

循環するだけで受け手のいない この雨が

いっそう 俺の気持ちをさみしくさせた

 

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そしてまた 失っていたはずのものが

よみがえってきた

喉が渇くのだ

水をすくいあげて感じた身体からの欲求

透明な液体を喉に通せば

いくらでも飲み続けられるような気さえした

その うまさに感動するとともに

ここまで いっさい必要としなかった生理現象が

俺の中に呼び覚まされたことを悟る

それは 詰まるところ

いきることの鬱陶しさを感じさせることでもあった

 

あの囚われの世界からにげださなければ

そんな 後悔の気持ちがわいてきた

敵に襲われることもなく

命の危険に身をさらすこともなかったはずだ

 

女神は以前 あの囲われた場所で行われていたことを俺に告げた

想像する力を餌とする この白い世界の支配者

そいつのもとからにげだした俺は

ずっと追われつづけている

 

なにも知らず

なにも気付けず

平穏で不自由を感じることなく

ただ 生きていることの

何が悪いというのか

なぁ 女神さんょ

 

 

「あなたに 非常伝えづらいのですが…」

 

 

女神の声がひさしぶりに耳に届く

 

しってるよ

俺の心の声

アンタには筒抜けなんだろ

 

「…えぇ まぁ そうなのですが…その…」

 

 

ちょっと 悩んでただけだ

らしくねぇな

だまりこんでてすまなかった

どうせ もう どこにも帰る場所はない

 

 

「そうですか

 迷いが晴れたのなら

 それは よかったのかもしれません

 

 では すみやかに報告しますね

 実は さきほどから 魔物が忍び寄ってきています…」

 

 

てめぇ さっさと言えよ!

 

と言い終える前に

俺の身体は 軋み合いながら

天高く 舞っていた

 

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ふざけんなよ…な…

 

 

 ― ― ― ―

 

LV.9につづく… 

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