月詠み 日々 細胞分裂

- 泡沫の妄想を放ちます -

 『Village revitalization』 vol. 8「 働かざるモノと動かざるモノ」

 

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老人は日課として夕食後、ノートに一日の記録を残していた。

以前、こっそり覗いた時に一番気になった日付を探してみた。

祖母、つまり老人の妻が亡くなった日だ。

その日だけは、老人はノートに何も書いていなかった。

 

母の行方が分からなくなってからは、老人はノートに何も書かなくなった。

翌日も、その次の日も。

その変わりに、部屋にこもるようになった。

部屋の前を通りかかると、いつもラジオの音が聞こえた。

 

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 あらすじ vol.1~7

 

『Village revitalization』 vol.2 「ど田舎の村に変な会社がやってきた」

『Village revitalization』 vol.3 「村おこしビルダーズ」

『Village revitalization』 vol.4 「HPとMPのあるメガネ」

『Village revitalization』 vol.5 「ブログでビルダーズを紹介してみる」

 『Village revitalization』 vol.6 「生まれ育った村から出られない」

 モニターとWEBカメラを搭載した「メガネ」がある。

 ネットを通じて、依頼するモノと依頼されるモノで結ばれ創られる村。

 それが「村おこしビルダーズ」

 もともとこの村の住人だったわたしは、この「民間参入型開発特区」に指定されたことを後悔し始めている。

 母がトラブルに巻き込まれ、行方が分からなくなってから一月が過ぎた。

 村は異様な形で再び孤立し始めた。

 

 

↓ つづきです

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 「村おこしビルダーズ」での食料が尽きてきた。

 「依頼人」達は好き勝手に作物を収穫したり、土を掘り返したり、木を切り倒したりしたが、それを永続的に繋ぐことを考える…つまり生産活動を指示する「依頼主」が圧倒的に少なかった。

 この「村おこしビルダーズ」の世界だけでなく、現実問題としてこの村自体でただ生きることも困難になりつつあった。

 「メガネ」を外し、「依頼遂行人」からログアウトしたところで食べ物にありつけない。

 少し前に仲間内で川魚を釣ってやり過ごしている人を見かけたことがあったが、最近はもう彼らをみない。

 わたしの場合はもともとこの村にいるという点で、「老人」の田んぼや畑は確立した私有物として存在している。村から外に出ても、ここが実際の本籍であることから「村おこしビルダーズ」からは追放されることはない。よって隣村で食べ物を買って持ち帰ることも可能だ。「オープニングスタッフ」の特権だといえる。

 

 しかし、外部から入ってきた「依頼遂行人」は一度村の外に出ると、二度と「村おこしビルダーズ」へ戻ることはできない。

 仲間が出来ずに孤立し、飢えとの戦いに負け、やがて隣村までの山道を越えては去っていく者が後を絶たない。

 そしてすぐに新しい「遂行人」が入って来るの繰り返しだ。

 

 そんな中、「遂行人」が食べものを得るパターンとして最も多いのは依頼主からの「ギフトアプリ」で直接食べ物などを支給してもらうという手段だ。

「ギフトアプリ」で購入されたモノは、指名された「遂行人」の手に渡る。

 村を抜ける唯一の道路が使えなくなった今、配達業者は山を越えて入ってくる。

 そこまでして配達する理由を聞くと「(株)きみがいて、ぼくがいる」から特別手当が得られるという話だった。なかなかの良心的な金額らしく、通りで同じ配達主ばかり見るわけだ。配達場所も村の入り口付近にある「ギフトボックス」と場所も決められてあって、慣れてしまえば意外と楽だと言っていた。

 

 そんな訳で、今の「依頼遂行人」は「依頼主」経由で食べ物を手に入れるという流れになりつつある。

 食べ物の他には衣服が与えられることが多い。

 この支給物は、「村おこしビルダーズ」に何らかの影響を与えるものは禁止されている。たとえば一月前に問題となった火薬、圧倒的に作業効率が上がってしまう重機は当然のことだが、洗濯するための洗剤や洗顔料なども認められていない。自然な形が「ギフトアプリ」の規約として望まれているためだ。

 食料などを支給される遂行人というのは、言わば選ばれし者である。「依頼主」が指定した「遂行人」に購入したアイテムを与えるという働きは、双方にとって利益があると認め合う証拠だ。

 依頼主は囲うことで自ら気に入った「遂行人」を専属遂行人とし、遂行人は特定の「依頼主」を得ることで、獲得する報酬が約束されるというわけだ。

 いろいろと「依頼主」に好かれるには方法があるが、今、最も票を集める「依頼遂行人」は「マスター」と呼ばれる人たちだ。

 「マスター」と持てはやされる存在とは、「依頼主」が指示をするのではなく、「依頼遂行人」が「オート機能」によって自由自在に動く権限が与えられている者だ。

 

 「マスター」は専門的なスキルを究めているという点で飛びぬけている。

 もはや「依頼主」の指示などただの人材能力の無駄使いでしかなく、「オート機能」で好きに働いてもらえば、「遂行人」が開発を最も効率の良い形で進めてもらえるということになる。

 そして、そこで生まれるモノは全て「依頼主」のモノとなる。

 「攻略サイト」の情報によると、研究資金の乏しい研究者達が、資金提供を目的に「村おこしビルダーズ」に入村予約していると載っていた。

 

 

 

 「老人」が何十年と繰り返してきた日常と、飛び交うデータで操作されていく村。

 その二つの間にいるのがわたしなのだろうか。

 

 いろいろとあって、それから一度もわたしは「メガネ」を付けていなかった。

 

 

 そんな中、また問題が起きた。

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「村おこしビルダーズ」風に言うのであれば、「HP」がの「依頼遂行人」が出てしまったのだ。

 

 

つづきます… 

 

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心

 

 

 今日ぐらいは悩みのない一日を送りたかった。

 …仕事が始まって30分もしないうちに打ち砕かれた。

 

 

 

 歳を重ねた。

 ただ、それだけのこと。

 

 誕生日よりも、休日が嬉しくなったのはいつからですか?