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月詠み 日々 細胞分裂

- 泡沫の妄想を放ちます -

 『Village revitalization』 vol. 7「母のつくったごはん 」

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同じ一軒家で生活しているというのに、老人の生きてきた人生の多くを知らない。 

老人は朝早くに家を出て田んぼと畑に行く。

昼時になると昼食をとるために帰ってくる。

居間で横になり、昼寝をしていたかと思えばいつの間にか姿を消している。

また、田んぼと畑に向かったのだ。

田んぼと畑にはそれほどまでに面白いものがあるのだろうか、小さい頃のわたしは不思議で仕方がなかった。

大きくなると、その日常が直接生きる事につながっていたことを理解する。

老人がわたしのおじいちゃんだった頃、口癖のように言っていた。

「百姓だけでは食っていけん」

その言葉通り、わたしが子どもの頃は牛を飼い、村が雪に埋まる時期には酒どころの蔵元で杜氏(とうじ)として働いていた。

おばあさんは出稼ぎで旦那がいない時には一人で家を守らなければならない。

この村では昔はそれが当たり前だったという。

 農業だけでは食べていけないという言葉を都合のいい形に解釈したわたしは、田舎の村に育ちながら一度も作物を育てたことがない。

わたしは何も知らずに、食って寝てを繰り返して生きている。

老人にそのことを一度告げたことがある。

老人は、何も言わなかった。

 

日が暮れてきた。

今日も当たり前のように収穫した野菜を家に持ち帰ってくるだろう。

 

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  あらすじ vol.1~6

 

『Village revitalization』 vol.2 「ど田舎の村に変な会社がやってきた」

『Village revitalization』 vol.3 「村おこしビルダーズ」

『Village revitalization』 vol.4 「HPとMPのあるメガネ」

『Village revitalization』 vol.5 「ブログでビルダーズを紹介してみる」

 

 

 ある日、わたしの生まれ育った田舎の村が「民間企業参入型経済特区」に指定され、「(株)きみがいて、ぼくがいる」という会社が村の再生に手をあげた。

 現在、わたしはその会社で「依頼遂行人」として働いている。

 WEBカメラとモニターレンズを搭載した「メガネ」を装着し、依頼主の指示に従って行動することで報酬を得るという生活がこの村の日常だ。

 ネットでつながる世界中の依頼主が「メガネ」をつけた「遂行人」達に支持を出す。生まれ育った村の様子が徐々に変わり始めると、わたしはどこか不安になった。

 その不安を紛らわす為だろうか、車に乗って気分転換に村を出ようとした。

 …すると突然、わたしの目の前でこの村から出るための唯一の道が吹き飛んだのだ。

 

 

↓ つづきです

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 早くも一月が経とうとしていた。

 わたしの母と連絡がつかなくなったのも一月経ったということになる。

 

 警察によると、母はあの日は職場を早く出て帰路についたらしい。

 もしかするとだが、今回の事件に巻き込まれた可能性があると伝えられた。

 そして、トンネルがあった小山は損壊が激しく、隣の岩山も崩壊する恐れがあると言われ、大々的な捜索は行われないそうだ。

 わたしと「老人」はそのことを伝えられてから、母の事には一切触れていない。

 

 事件に関しては道路とトンネルが爆破物によって破壊させられたが、犯人は解っていないそうだ。爆破事件を起こした犯人として、「遂行人」として村に居た元花火師の男が疑われたが取り調べの結果は無実であった。

 

 最先端の具現化オンラインゲームとして注目を浴びていたはずのこの村は、再び孤立したただのど田舎に戻りつつあった。

 電気は復旧せず、プロパンガスももう残りわずかだった。

 それでも、「メガネ」だけはいきていた。

「(株)きみがいて、ぼくがいる」が村の中心に立てたタワーがある。

 専用の回線と電源を隣村経由で引っ張っていたらしく、「メガネ」の充電も独自のUSBケーブルによって支障は起きなかった。

 ただ、その他の用途には使用できない作りになっていた。ここから村への供給は難しそうだ。

 

 

 一日の終わりを自室のある二階で過ごす。

 日が暮れるのが本当に早くなってきた。 

 

 あの日、村人の救助は早急に行われた。

 皮肉にも「依頼主」の手によって救助活動が勧められた。

 大昔に使っていたという山道がわたしたち「遂行人」の手によって切り開かれた。

 救助隊が駆けつけた時には、村は落ち着きを取り戻していた。

 何も知らない「依頼主」がモニターを通してみれば、平穏な雰囲気が流れているいつもの「村おこしビルダーズ」だっただろうと思う。

 ただ、ここに住んでいた人達の生活は変わった。

 村の人口は減り、今は30人ほどだ。

 「遂行人」の中には不穏な空気を感じて出ていくものが何人もいたが、元々住んでいた村の住人の多くもこの村を出ていった。

 市はこの辺境の村に住む人を市街地へ移住させる決断をした。道路とトンネルの修復は財政問題と村の存続価値を査定した結果、当面見送るそうだ。

 道が潰れたことで周回していた病院へのバスが通れなくなり、医療が受けられない高齢者のほとんどが出ていった。

 もう、この村の出身者はわたしと「老人」と牛飼いの50代の男の三人だけになってしまった。

 それでも、村を去った「遂行人」が入れ替わるように「村おこしビルダーズ」へ新たに参加してくる者の姿を見かけると、人の欲はとめどないものなのだと、わたしはそう思った。

 

 もうじき、冬がこの村におとずれる。

 冬になれば村には雪が沢山降り積もる。

 食料も徐々に終わりが見えてきた。春先から育ててきた野菜と採れた米が「ビルダーズ」の食料のすべてだと言ってもいい。

 

 

 

 ヘルパーの仕事を掛け持ちしていた母は、わたしたちと一緒に食事をとることが少なかった。

 母が居なくなってからは、老人とわたしが食事を一緒に作るようになった。作った食事に、母が休日にまとめて作って冷凍していた料理を少しずつ足した。

 それも、今晩の食事でなくなる。

 

「ちゃんと手を合わせて「いただきます」って言ってから食べなさいよ?」

 

 母の声が聞こえた気がした。

 老人が「はい。では、いただきます」と言って手を合わせた。

 わたしは急に息が詰まり、小さく唸ったが、どうしてもその一言を口にすることが出来ずにいた。

 

 

 

 

つづきます

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I Don't Want to Wait

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 今日は呑もう。

 そんな思いで三ヶ月続いた断酒が終わった。

 もうすぐ歳を重ねるからという理由で口にしたものは、納得のいくものではなかった。

 飲む前からなぜか変な緊張感があった。

 恐怖すら感じた。

 

 それを飲むと体が重くなった。とにかく重い。

 そして気持ち悪い。

 喉を通らない。なんなのだ、これは。

 炭酸飲料の方が断然おいしい。

 時間を返せ。

 嫁と接する自分の仕草が明らかに違うのがわかる。

 そんな自分が気持ち悪い。

 

 取りあえず年末の忘年会までは飲まないと思います。

 飲む理由がない。楽になんてなれない。

 苦しいだけだ。

 

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