月詠み 日々 細胞分裂

- 泡沫の妄想を あなたへ -

『Village revitalization』 vol.6 「生まれ育った村から出られない」  

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 老人がわたしのおじいちゃんであった頃、思い出話で語られたことを思い出した。

 

「きみが小さい頃、なんでもボクに聞いてきてね。まじめに答えなければと思い、辞書を広げてね。それから声を出して読み上げたよ。しかし、どの言葉もきみには難しかったんだろう。じっとボクの目をみつめてね、不思議なものを見るような顔をしていた。

 でもね、ボクが話し終えるといつも笑顔で返してくれたんだよ」

 

楽しそうに語っていた。

主人公はわたしなはずなのに。

どこかで嫉妬したり申し訳ない気持ちになってしまうのはなぜだ。

 

今はもう、お互いに大事なものを忘れてしまったようだ。

 

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 あらすじ vol.1~5

 

『Village revitalization』 vol.2 「ど田舎の村に変な会社がやってきた」

『Village revitalization』 vol.3 「村おこしビルダーズ」

『Village revitalization』 vol.4 「HPとMPのあるメガネ」

 

 ある日、国からこの田舎の村が「民間企業参入型経済特区」に指定され、「(株)きみがいて、ぼくがいる」という会社が村をプロデュースし始めた。

 わたしはもともとこの村の出身だが、今はその会社で「依頼遂行人」として働いている。WEBカメラとモニターレンズを搭載した「メガネ」を装着し、依頼主の指示に従って行動することで報酬を得る日々を送っている。

 日々アップデートが繰り返されるなか、「メガネ」の機能も、生まれ育った村の様子も徐々に変わり始めた。

 なんだか最近、少々息苦しさを感じ始めた…。

 

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 イベント参加の為に「メガネ」の仕事を休んで村を出るとブログに載せたが、実際は嘘だ。だれがこのブログを見ているかわからない。特定されることは恐怖でしかない。

 

 3か月間、休みなく「メガネ」生活を繰り返してきた。

 自由に休みたいときは休んでいいはずなのに、依頼主の評価が気になって休めないという異常な心理状態にあった。

 仕事を終えてから、隣の市のショッピングモールにでも久しぶりに出かけようと思った。車で一時間の距離にある。

 「(株)きみがいて、ぼくがいる」で働き出してから一度もこの村から外に出ていないからか気分転換を欲していた。

 

 出かける前にテレビで天気予報を確認する。山間部のこの小さな村は予報通りにならないことが多い。

 母親宛に「少し出かけます。10時には戻ります」とメモを書き残した。

 車に乗り、エンジンをかける。

 今日は朝から小降りの雨が降っていたが、これからは夜にかけて天気は回復するそうだ。

 

 

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 問題が起きた。

 結果として出られないのだ。この村から。

 車で村を出ようと村境へ差しかかった時だ。

 この村から抜け出る為には東に抜ける道が唯一の道だった。

 その道が私の視界のはるか遠くで消し飛んだ。

 

 大きな爆発音が山々に響き渡る。

 強く踏み込んでいたブレーキをそろそろと放した。

 ヘッドライトは依然として小さな雨粒を照らしていた。

 

  少し悩んだが、問題の起きた場所まで車を走らせた。

 ドアを開けたままに、周囲の様子をうかがう。

 人も動物も、この村に生きるものの全てが体を強張らせて様子をうかがっている。

 そんな雰囲気を感じた。

 

 目の前では砂煙と砕け散ったアスファルトの残骸がライトに照らされている。

 まるで爆破されたように道がふっ飛んでいた。実際、火薬の匂いがする。

 そして、その先に見えるはずのトンネルも完全に潰れていた。

 

 後ろを振り返る。

 先程まで明かりを放っていたはずの村の明かり見えない。村全体が停電しているようだ。

 山頂の方で車のヘッドライトが点灯するのが目に入った。牛飼いの50代の男のトラックだとすぐにわかる。

 この村では「村おこしビルダーズ」が始まる前までにあったものだけは所有が認められていた。車は、わたしの車と牛飼いの男の車しか今はこの村にはないはずだ。母親はまだ隣町のヘルパーの仕事から戻ってくるには早すぎる時間だ。

 

 雨が強くなってきた。

 寒気を感じ、とにかくこの場を離れようと車を動かす。

 狭い一本道の道路はしばらく迂回ができない。

 真っ暗な道を、ドアから頭を出したままゆっくりと後ろ向きに進む。

 額にあたる雨が冷たい。首筋を雨が滴となり流れるのを感じる。

 村の山頂から降りてくる牛飼いの車のライトが見える。

 左右に揺れながらひるがえり、少しずつ山を降っている。

 わたしの視界に映るものは、2台の車のライトが照らす明かりだけ。

 迷い人のように森をさまよっている。

 

 …何がこの村で起きたのかわからないが、何かが起きている。

 わたしの目の前で。

 

 降り止むはずだった雨はそのままに、日付は変わった。

 

 

激しい雨

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  今日はお仕事、定時でした。

 明日も、仕事です。

 でも、明日働いたら連休です。

 それが救いです。

  明日の今頃は、解放されているはずです。

 

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 こたつ布団を出さなければならないと思っていたら、そういえば夏前に捨てたんだということを思い出す。

 親元を離れて初めての正月休み。帰省した時に寒いだろうと買ってもらったコタツとこたつ布団。

 もう10年以上使ったんだから、と捨てた。

 

 早いとこ買わないと…。