月詠み 日々 細胞分裂

- 泡沫の妄想を あなたへ -

『Village revitalization』 vol.1 「限界集落でネット三昧」

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「この国に土着する『かみさん』の数を御存知ですか?」

 老人は言った。

「八百万(やおよろず)と言われるくらい多い…んですよね?」

 かつて、この老人が私のおじいちゃんだった頃に教えてもらった言葉だ。

 

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 新卒で就職できず、都内で二年間をフリーターで過ごした。

 結局、都会に馴染めず、逃げ帰ったど田舎の地元は限界集落ときている。

 地元に戻ってからは親のすねかじりをする毎日だ。

 父親は私が高校生の時に他界した。母親は介護施設のアルバイトを掛け持ちしている。朝早くから仕事に行って、帰ってくるのは夜遅くだ。

 よって、日中は八十五歳の祖父と私の二人きりがおおい、とはいっても私は部屋にこもってネットの海に潜って遊んでいる毎日だ。

 こんな田舎でもネット環境があるのがはじめは信じられなかった。

 どうやら有名な映画監督がこの田舎の出身らしく、オフの時の帰省でネット環境がないことが不便だったらしく、思い切って光ケーブルをここまで実費で引いてきたらしい。

 

 母親に形だけでも仕事を探しているというアピールがネットがあればできる。

 求人をプリントアウトして、母親が目にするだろう台所のテーブルに何枚か置いてみたり、かるく丸めてゴミ箱にみえる角度で捨てたりしている。

 その捨てられるために印刷された正社員募集の求人情報は、どれも安月給の小さな個人経営の会社ばかりで「この村と一緒に衰退していく」という先行きの見えたものばかりだった。だから雇用形態にこだわることもないと開き直る。

 「短時間のアルバイト」「車で一時間の所にある隣の市の工業団地の派遣に登録」を地元に戻ってから何度か繰り返した。

 このままのペースでバイトや派遣を行ったり来たりしていると、この辺りの会社すべての面接を受けるのも時間の問題だ。

 でもモチベーションがあがらない。直ぐに辞めてしまう。

「もぉ~ちべぇ~しょん」とか仕事場でふざけて言ってみても同調してくれる人はいない。どの職場でも20代のわたしは浮いていた。40代でも若者扱い。このあたりの職場では還暦を迎えるくらいの年齢の人が大多数だ。

 数少ない同級生たちは完全にこの地域を見限って都会で生活、もしくはそうとはいかなくても、まだ賑やかな地方都市に移って生活していると聞いた。

 

「目標もなく、ただ時間稼ぎをして生き長らえる人生」

 

 それがわたしの残された人生の作成図だった…はずだった。

 ある日のTVニュースではじめて自分の住む市が取り上げられているのを目にする。さらに詳しく掘り下げると、そのニュースの舞台はこの合併に合併を重ねて市に偶然取り込まれた、末端の限界集落であるこの小さな村だった。

 

 

 次回につづきます

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Our Story

Our Story

 

  この作り話にでてきた、田舎に光ケーブルを引っ張ってきた人の話は本当です。

 (映画監督ではないけど…)光が始まってそれほど経たない頃に…。

 

 思い切った行動する人って、どういう生活を普段おくっているんだろ。

 

 そういう人が切り開いた先に道が出来て、後に続く人が出てくる。

 続く人が増えて、道が踏み固められて…先人がやっとの思いで切り開いた場所に後追いでも辿り着くことができる。

 先陣を切って獣道を切り開いた人は、どこかでそういう後に続く人を煩わしいとか思うんだろうか。

 もっと先に行ける時間が用意されたと羨ましく思うんだろうか。

 もしくは、自分が作った道からどんな方角へ道が伸びていくのかを楽しみに感じられるのだろうか。

 

 

 そんなことを無職の時、考えていたのを思い出した。

 

やりたい事をすべてやる方法

やりたい事をすべてやる方法

 

 

 

 申し訳ないですが、このあとまた前回のような変な世界…入ります。