月詠み 日々 細胞分裂

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無職の俺に降って湧いた話 第五話

 本日の話は第五話。

 これまでの話 1~4話 ↓

 

 

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これまでのあらすじ (1話~4話)

『無職の日々が淡々と過ぎて行く。ある日、友人に「(株)君がいて、ぼくがいる」という怪しい会社のアルバイトを紹介される。

 バイトはフレーム部にWebカメラ・レンズ部にモニターを搭載した特殊な「メガネ」を装着し、モニターに表示された三択の中から好きな依頼を選ぶことが出来る。

 ためしに引き受けた依頼分の入金を確認できたので、もう少し欲張ってみようと新しい依頼を受けたがそこで待っていたのはトラブルだった。

 依頼をクリアすることが出来ず、しかも初対面の人間に自己否定をされ傷つくが、後日依頼人から「トラブルに見舞われている映像、それがよかった」と評価され、何とも言えない気持ちになる。

 依頼人に「メガネ」を通した映像を配信すると同時に、依頼人が望むことをクリアすることで報酬が得られる。この仕事の闇の部分に少し触れた気がした私であった…。

 

 

 それでは、つづきです ↓

 
 ー ー ー ー

私がトラブルに合って弱っている映像を物好きな依頼主が気に入ったということで、依頼を達成できなかったのに報酬が得られるということが以前あった。
初々しかったあの頃から、あっという間に時が流れた。
思えばあの出来事から、吹っ切れた部分があったような気がする。
その勢いで数々の依頼をいくつもこなしてきた。
そんな今だから見えてきた部分がある。
今の私の「メガネ」も少しずつではあるがカスタマイズされてきている。
レンズ部に搭載されたモニターには右上に数字が表示された。

「17」

この数字は現在の私のミッション遂行レベルを表している。
RPGロールプレイングゲーム)に例えると、遂行人の私のLv(レベル)である。
この数値が高いほど、報酬額の高い依頼がモニターに提示されるようになる。
その分、依頼自体の難易度も上がるが。

その遂行レベルを上げるために必要なのが経験値だ。
依頼内容の横に数値が現れるのだが、仕事を初めて引き受けた時にはこれが何を意味するのかを説明会に参加していたはずなのに忘れていた。
この数字ことが、依頼をクリアすることで得られる経験値を意味していた。
これもあの「メガネ」のコンビニ店員に教えてもらった。

「経験値が高いものほど、依頼される条件が困難になって難易度が上がるからね。
例えば買い物という依頼一つとってみても、経験値が一桁のものと四桁のものとでは大きな差がある。
場違いな高級店に入って泣きをみないようにね。(まぁ、君の一桁くらいのLvではまだ表示されない依頼だろうけど…)
基本的に支給されたプリペイドカードの上限額はミッション遂行レベルごとに変動する仕組みになっている。だからこちら側が金銭面で負担するなんてことはないから、その点だけは安心して動けばいい」



 ー ー ー ー


それにしても、なぜだろう。
あの「メガネ」を装着したコンビニ店員は、いつ行ってもあのコンビニにいる。
コンビニ定員というのは依頼ではなく本業で、「メガネ」で動くのは空き時間なのだろうか。
同じ条件を何度もこなし続けると、経験値は1しかもらえなくなる。
ミッション遂行レベルは伸びないかもしれないけど、コンビニ店員としてはベテラン。いろいろな働き方があってもいい、ということだろうか。

一方の私はというと、その日暮らしの身分でありながら、依頼時には支給されたプリペイドカードで散財しまくっている。
おつかいをしている時は実に気持ちがよかった。
この依頼のバイトが無ければ知らなかっただろう世界の買い物に立ち会えたし、自分ならば決して買わないと判断する商品に対してカード払いする時の感覚は今までにないストレス発散となった。
まぁ、そうは言っても、ただ依頼内容に対して支給されたカードを使うだけなのだが。

そして今、「メガネ」にインストールするアプリの購入を考えている。
今までにバイトで稼いだ額の半分もする値段だが、これがどうしてもほしい。
依頼人の動画視聴時の満足度が確認できるというアプリだ。
このアプリがあれば依頼終了時にボーナスがもらえる。
依頼主の評価によって、経験値と報酬がプラスされるというものだ。
その日暮らしの身分ではありつつも、収入は確実に増えていっている。

少しずつ、少しずつ、私の中で地中を這っていたものが沸き上がってくる。
けっして地表に出てきてはいけないものだ。
でも、それをただ眺めているだけで止める気のない私がいる。



 ー ー ー ー


 つづきます…。