月詠み 日々 細胞分裂

- 泡沫の妄想を放ちます -

私は嫁が作ったもので出来ている

物心付いた頃から、とにかく食べることが大好きだった。

人間には色々な欲があるというが、私の場合は「食欲」に割り当てられた欲求が尋常ではないと思う。

四六時中、寝ている時でさえも涎を垂らしながら食事の夢を見る。

 

でも美食家、食通といった言葉は私には似つかわしくないと思う。

ある程度の調理方法だったり食材の知識はあっても、自ら料理することにはさほど興味がない。

ただひたすら、食べることに専念したい。

目の前に置かれた料理の匂い、色合い、温度、食材の形。

それらを総合的に感じながら、料理を口に運ぶ。

箸で触れたときの質感、重さ。

想像していた味が口の中に広がる時の安心感。

想像を超えていた時に感じる運命の出会い。

思い思いに口の中で料理を舌と歯で味わう。

自由に理解していいのだ。私の口の中にあるものを。

咀嚼する行為を許されるモノだけが、生命を好きなだけ噛みしめことができる。

時に未練がましく、喉を伝って私の底へ降りてゆく。

 

「食事」という、その一連の動作。

私が一つの生き物であると自覚できるこの時間が、なんとも愛おしく、そして至福の時なのだ。

 

 

そんな私が口にする料理への感想は「おいしい」と「とてもおいしい」の二つだけだそうだ。

身近にいる嫁がそう言っている。

食事をしている時の私はとても幸せそうな顔をしているらしい。

さらに嫁が言う。

「あなたは例えその日が地球最後の日であっても、きっと目の前に料理さえあれば幸せそうな顔をして食べることにまい進するの」

 

 

仕事場に知らせてある住所とは別に、会社のすぐ近くに部屋を借りている。

昼休憩になると、私はその賃貸の部屋へ足早に向かう。

中に入ると嫁が昼食を用意して待ってくれている。

私がそうしてほしいと嫁に頼んだら、こういうかたちになった。

 

 

 

思い返せば、嫁は結婚当初はここまでの料理の品数をつくることは出来なかった。

そのことについて聞いてみた。

「何でもおいしそうに食べるあなただから、色々と試すことが出来た。だって、どう考えても失敗でおいしいとは言えない料理でさえあなたは喜んで食べていたんだもの」

「そう?だって、おいしいよ?」

「あなたはこうも言ってくれた。『今日の料理はもしかしたら調理した本人としては納得いかない味だったかもしれない。でもボクは、キミがそこから考えて、工夫を重ねたり、違う料理から学んだりして、毎日少しずつ広がっていく君の作る料理の世界を一番身近で楽しめることが嬉しくて仕方がない。だからもっともっと、楽しんで料理してくれたらって思うよ』って」

 

 

…私は知らなかった。

まず、食事中に自らの事を「ボク」と言うこと。

そして、食事中に普通に会話していた事。

 

全く記憶がないし、そもそも食事中は自分の世界だ。

悪いが周りへの意識がない。配慮もないと思っている。

料理を食べることに必死で夢中だ。

 

 

でも、まぁ、変なことを言っていなくてよかったと思う。

さて、ではそろそろ「いただきます」

 

 

 

 

という妄想世界でした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

明日も残業だぉっ。。

 

笑's・焚き火調理台450re/SHO-0014re

笑's・焚き火調理台450re/SHO-0014re