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月詠み 日々 細胞分裂

- 泡沫の妄想を放ちます -

もうやめなよ。プレゼントの値段を検索して調べるの。

「ナミ、もういい加減やめたら?」

今日、偽りの誕生日を向かえた友人のナミへ私が向けた言葉だ。

 

ナミと私はルームシェアをして3年の付き合いになる。

大学のサークルで出会い、卒業後は就職先が近かったため一緒に暮らすことになった。とはいっても、ナミは就職した3か月後には大手企業を辞めているが。

これまで仲良く続いてこれたのは、お互い他人に干渉しないという性格が大きいと思う。ここまで一緒に生活するとは正直、想像していなかったことだが。

 

床に並べられた大小いくつもの箱の脇にはビリビリに破られた包装紙が散らかっている。

ナミはスマホを手にプレゼントを調べる。

箱に付箋を順番に貼り付けて、所々メモ書きしていく。

付箋にはネット通販サイト「密林マングローブ」で調べた価格が書かれている。

メモ書きには「オークション」「転売」「私用」「物々交換」…など書かれており、色々とカテゴリーがあるようだ。

 お買い物チェックスタンプ

複数の「彼氏」から届く誕生日プレゼント。

今日は「今年50回目の誕生日」だそうだ。

朝から続々とプレゼントが集まる。

同じ配達員の顔を何度も見かける。

 

 ナミは動画配信サイトに登録している「ほしいモノリスト」で生計を立てている。

動画配信で巧みな話術とその美貌を駆使し、世界中に「彼氏」を作り続けている。

その「彼氏」達に「誕生日には「ほしいモノリスト」からプレゼントしてねっ」とお願いすると、本当にプレゼントが送られてくるから私はふしぎでならない。

 

ナミは複数のアカウントを操り、その都度話し方、服装からメイク、部屋の背景にいたるまで、アカウントごとに姿かたちを変えているらしい。

 そのつくり上げられた幾つもの姿にすっかり騙され、同じ人物からナミ宛てにプレゼントが届くことも珍しくないという。

 

まぁ、私も多少おこぼれにあやかるので内心は100%反対できていないが、やっぱりこういう生活の仕方はどうなのだろうかと思う。

ナミは「一生これで生きていく、わたしの天職だから」と言う。

 

 

ある日、珍しく喧嘩をした。

その日はお互いにイライラしていた。

どちらからともなく、冷蔵庫の使い方、ごみの捨て方で急に揉めた。

鬱憤は矛先を変え、私の仕事に及んできたので、思わずナミに向かって常日頃思っていたことをぶちまけた。

「先のことを忠告するのもどうかと思うけどさ、40、50歳になってもこんな方法で生活するなんてことが通用するものか」

口から出た後、言ってしまったなと少し後悔したが、ナミは軽く笑ってこう返した。

 

「大丈夫、60歳の容姿でも動画配信してる。知らないだろうから教えてあげる。わたしを支援してくれる上客は、高齢者の方が圧倒的に多いんだから」

 

私は何も言い返せなかった。

 

 

 ドラッグストアでチャーミーマジカ 食器用洗剤 スプラッシュオレンジの香り 本体 230mlお気に入りの食器洗い用洗剤を見つける。

 頑固な油汚れがなぜかサラサラして、流し終えた洗い上がりが気持ち良くて気に入っている。

 あれ、でもこれってネットで買った方が安いんだっけ?と思い、スマホで検索する。

 店頭の方が少し高かったが、配達員と先日の「プレゼントの日」に何度も顔を合わせたのを思いだし、そのまま買い物カゴに入れた。

 

 真剣な顔でプレゼントの査定をしていたナミの顔を思いだし、今の私もそんな顔をしていたのだろうかと思わず隣の化粧品コーナーにある鏡を遠目からまじまじと見つめてしまった。

 

 

 

という、フィクションです。 

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  今日はコタツを探しに近所の家具屋さんへ出かけたのですが、目当てのお店が臨時休業という…なんだかなぁ…。

 

 

 でも明日も休日という幸せ。

 

 あ…もう今年は年末の正月休みまで連休がないような気がします(´;ω;`)