月詠み 日々 細胞分裂

- 泡沫の妄想を放ちます -

ジャンケングリコで「さようなら」

・「グー」で勝つと「グリコ」で3歩進む。

・「チョキ」で勝つと「チヨコレイト」で6歩進む。

・「パー」で勝つと「パイナツプル」で6歩進む。

 

私が幼少の頃にしていた「じゃんけん遊び」の一つだ。

雨の日、近所の友達と一緒に学校や近所の建物の階段を使ってよく遊んだ。

一階から一歩ずつ「グ・リ・コ」「チ・ヨ・コ・レ・イ・ト」「パ・イ・ナ・ツ・プ・ル」と声を出しながら最上階までのぼって折り返し、再び一階まで降りたら終わり。

何が楽しかったのだろうかと今では思う。二人だけで遊ぶときなどは、掛け声一つで二歩進んだりと幼いながらにインチキをしていた。

きっと誰もが。

 

 

5階建ての団地が4つ立ち並んでいる。その団地と団地の狭間にある砂場のふちに腰かけて、コンビニで買った弁当を食べていた。

今年は年末という時期にも関わらず、昼間が暖かい。

目の前の団地の階段から子供の声が聞こえる。

そういえばこんな遊びがあったんだと懐かしい気持ちになるくらいに、目の前の2人の子どもが遊ぶ「グリコ」の掛け声がまぶしく見えた。今日、目にしなければもしかすると死ぬまで思い出す切欠がなかったのかもしれない。

 

 

私の用事はこの団地の更に奥に進んだ場所にある、冬休み中の小学校にある。

一人の定年を控えた教員とアポをとってある。卒業教材の営業を表向きの理由に、退職後の「第2の人生」の提案として、投資を促す形だ。仮にこのアポがとれた人物が教員でなく他の職業ならば、それに見合った営業内容で近づいて、また「第2の人生」を提案する。

この「第2の人生」はなかなか魅力的な商品だと思うが、それは表向きだけであって中身は保証できない内容となっている。

別にこの怪しい営業の仕事が向いているとは思っていないが、ぎりぎりのところで毎月の営業目標が達成出来てしまっていて、なんとなく続けてきている。

私も「第2の人生」に興味があるが、私の提案する「第2の人生」には決して乗りたくはない。

 

 

目の前で子ども二人きりの「グリコ」が繰り広げられる。

忠実な歩幅で階段をのぼっている。

一段飛ばしたり、3歩の所を6歩進んだりしない。

 弁当を食べ終わり、缶コーヒーを開ける。

何気なく眺めていたが、ようやくおかしな点に気が付いた。

1人の子どもがわざと負けようとしている。

じゃんけんの出し方がおかしい。

さりげなく「グー」が多い。

それにもう一人の子どもが気付いたのか、げらげらと笑いだす。

もう一人もつられて笑い出す。

笑い始めるとじゃんけんをしなくなった。

 

私の後ろから誰かを呼ぶ声がした。

振り返るとその子供の親らしき人が手を振っていた。

子ども2人が向かいの団地の階段から飛び出してくる。

一台のトラックが出て行った。「引越し」の文字が書かれている。

1人の子どもが親に連れられて自家用車に乗り込む。

もう1人の子どもが「じゃぁまたな!」と叫ぶとその場から車が走り出した。

 

残された1人の子どもをみていた。

子どもは車の出ていった方向をみつめたまま、そのまま動かずにいた。

急に静かになった団地の中、わたしと子ども、二人だけがとり残された。

 

 

 

 

 

 

 という、つくり話でした。

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 人の誘いにのるのかのらないのか。そんなことで苦しまなくていいと嫁は言うが、一つの誘いにのって一つの誘いを蹴ったら、正月休みまでの日数を何度も何度も数えたくなるくらいに仕事場に行き辛くなった。なんなのだ。めんどくせぇ。ひきこもりたい。

 

株式会社タイムカプセル社 十年前からやってきた使者

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